Compostela(コンポステラ)は、映画文化のための小さなシネクラブです。
配信サービスの普及によって、映画に触れる手段はかつてないほど広がりました。
その一方で、作品は大量のコンテンツとして消費されやすくなり、アルゴリズムや商業的な事情によって、私たちの目に届きにくい映画も数多く存在しています。
俳優や監督の知名度、話題性、SNS映え、あるいは過剰な宣伝文句——そうしたものによって映画が語られることも少なくありません。
そういった要素が映画への入口になることもありますが、ときには作品そのものではなく、外側の要素だけで評価が決まってしまうこともあります。
また、メディアや影響力のある人物に取り上げられない映画や、日本の映画文化の文脈に乗れなかった映画は、作品の価値とは別の理由で、評価される機会を持たないまま時代に取り残されていく——そういうことが、静かに、しかし確かに起きています。
Compostelaでは、そうした映画と出会う機会をつくりながら、上映や講義、対話を通して、映画を見る目を養っていく場をひらいていきたいと考えています。
なかでも、上映機会の少ないクラシックやネオクラシックと呼ばれる作品を中心に取り上げていきます。それは過去を振り返るためではなく、映画をどう観るのかを問い直すための出発点になると考えているからです。
映画は観るだけでも豊かな体験ですが、その体験を言葉にし、他者と語り合うことで、はじめて見えてくるものもあります。映画を観ることと、映画について語り合うこと——その往復のなかから、映画文化は育っていくのではないでしょうか。
Compostelaでは、専門家に限らず、はじめて作品に触れる方や、映画について語ることに慣れていない方も、安心して参加できる場でありたいと思っています。
発言しなくてもかまいません。ただその場に身を置き、同じ時間を共有すること自体が、この場の大切な一部だと考えています。
同時に、映画を深く見つめてきた専門家の視点から学ぶことも大切にしたい。ただしそれは、一方的に教えられる場ではなく、専門家と観客がともに映画について考え、語り合う場でありたいと思っています。
映画を観るという体験は、その映画そのものだけでなく、観た環境や、劇場に流れる空気や熱気も含めて、ひとつの記憶になります。暗闇の中でひとつの光を見つめ、ともに笑い、泣き、ときには劇場全体が息を呑む——そうした時間は、配信を一人で観るだけでは生まれない、特別なものです。
映画を観ること、語ること、そしてその体験を分かち合うこと。映画文化は、映画を作る人や届ける人だけでなく、観客も含めたみんなでつくっていくものだと思います。Compostelaは、その小さな場でありたいと考えています。
■代表プロフィール
渡部 麻美(ワタナベ アサミ)
1980年生まれ、福島県出身。
高校時代に手書きのZINEを作り始め、アメリカの大学で写真を専攻しながら、フリーペーパーの編集や写真撮影に関わる。
帰国後、映画美学校フィクションコースに在籍し、同校の映像翻訳講座を修了。WEBデザイン、映画館勤務や映写関連の仕事を経て、外資系やグローバル企業にて翻訳や英語対応を含む業務に従事。
アメリカ留学中に出会い、長年再見を望んでいた映画が日本で上映される機会のないまま時が過ぎたことをきっかけに、Compostelaを立ち上げる。
映画を観る人・作る人・届ける人、それぞれの立場への理解が、この活動の土台になっている。
